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これからの読者を育てる

今ある本との出合いの場を今後に繋いでいくためにできることはないか。
数年来、出版業界全体のコミュニティの力で、子供たちと本を、学校と社会をつなぎ合わせることができないか、模索し続けてきたが、子供たちに本と読書について考えるきっかけとしての『読書の時間』という授業を提供させていただく。
多様な専門・価値観をもつ出版業界の様々な方々に複業先生として、『読書の時間』を通じ、本とは何か、本を読むことの豊かさ、本との出合い方、さらには出版業界従事者の仕事内容など、本の基礎からキャリア教育まで、本の周辺を知っていただける内容となっている。地域的な理由で、学校の中に多様性を確保することが難しいこともあるだろう。本授業が、子供たちの可能性を広げ、地方と都市部の教育格差、機会格差を埋めことにも繋がっていくことを期待している。
『読書の時間』は、これからの社会を担っていく子供たちが、「これからの読者」として、暮らしの中に本のある大人に成長するきっかけとして、出版業界の力を学校に注ぐことで、教育がより豊かになっていくことを願い、その一助となれたらと考えている。
本との出合いは、ほぼ親や保育園・幼稚園の先生など、他者から読んでもらうという体験から始まる。本に対する印象や、読んでもらったという体験が本が好きになるきっかけとして大きなウエイトを占めている。続く小学生の時期は、子どもたちに読書習慣を身につけさせるのに最適な時期となる。言い換えれば、幼少期から小学期において本と触れ合い、読書をする環境づくりは、これからの読者を育てる大切な時期と言えるだろう。
昨今、読み聞かせの普及や朝読書など、幼少期から小学期の本との出合いを創り出し、新しい読者を育むサポートする環境は、公共図書館や学校教育を中心として整ってきた。それにも関わらず、読書から離れてしまう人は年々増加している。
コロナ禍で学校教育のデジタル化は大きく進んだ。一人に一台のタブレットを配布し、学習に活用していくというGIGAスクール構想だ。
小学校を卒業し、中学生、高校生と進むにつれ、皆がスマホを手にし、SNSを活用し始める。もしも、幼少期から小学期において本と触れ合わずに、本の面白さと楽しさに触れる経験をしなければ、本の存在を拠り所とすることがないまま、デジタルの面白さと便利しか知らない大人になってしまうのではないだろうか。
このような時代だからこそ、幼少期から小中学期における読書をする環境づくりが重要だと考えている。
 本は素晴らしい、本を読むことはいいことだ、という一方的な押し付けや、本から教訓やしつけなどを直に導くという短絡的な提案ではなく、与えられるものであった本が、何かのきっかけや過程を経て、子どもたち自身の意思で選び読まれるようになった時、それぞれの子どもたちの本当の意味での読書が始まるのではないかと我々は考え、その一助になれるような活動を続けていきたいと思っている。

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